バケモノが出た「ムロカナマゲン」
2025年 09月 29日
たった今の事、初見のお客様。妖しい店故恐る恐る「お酒売ってますか」に「お酒しかありません(ビールや酎ハイは有りませんの意味)よ。」継いで「何かお探しのお酒が?」に「ムロカナマゲンシュが」イヤー出ましたね10年ぶりくらいの気分。「具体的には何処の蔵でしょう」に応えて「春霞とかゆきの美人とか」
あーあ、間違って入っちゃったんだなと思いつつ「ここがメインの売り場ですよ、まぁどうぞ」とプレハブ冷蔵庫を案内。どんなお酒を選んでくるのか見ない事にはお客様の「筋」が読めない。庭の鶯の米吟しぼりたてを選んで来た。黙って売れば良いのだが、どうせ二度と来ないだろうからと「ムロカナマゲン」が本来の意図と違って使われている趣旨を簡単に。
清酒のタンクは解放タンクが原則故にゴミや異物の混入対策で濾過は必要。これを素ろ過と言う。では無濾過とは。厳密には無炭素濾過と言い、活性炭による酒質矯正をしていない、ぶっちゃけ厚化粧無しの意味ですな。で生と言うのは加熱処理無しの意味で、乱暴な火入れ処理で不味い酒が多い中その反動で生が良い程度の意味。原酒とは文字通り加水処理によるアル分調整が無い。今では貯蔵熟成には原酒が望ましく、飲む時には詰まった香味を延ばして判り易くする為に軽く加水して味を延ばすのが良い。
こういった事情から10年程前に使われた流行言葉です。と解説し、折角だからご希望のムロカナマゲンで当方的に許される「志太泉 開龍(山田70%純米生原酒)」をお勧め。お召し上がりの際は温度を少し上げ軽く水を差して下さい。
ダンチュウはじめ偉い地酒屋さん、こんな事してたら消費者は育たない。結果として三増酒で墓穴を掘った経験の二の舞じゃあるまいか。
何処にぶつけて良いのか、無性に腹が立った。ここへ吐出した。即興で文書にした。腹立ち具合が伝わるか。

