取材源の秘匿について追加稿
2024年 06月 18日
6月9日の弊ブログ『取材源の秘匿』から10日近く経過しようとしている。鹿児島県警本部長による県警不祥事隠蔽事件について詳細が明らかにされつつある。取材源の秘匿を実行しようにも警察による報道機関への立ち入り強制捜査という言論機関に対する「裸の暴力」介入で秘匿できなかった事実が明らかになった。詳細はJB PRESSと言うネット記事への伊東乾教授の寄稿、6月18日の記事(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81571) と14日の記事(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81520) とを参照して頂きたい。所謂大手マスコミ(NHK・大手民放・大手新聞)が意図的(と言わざるを得ない)に本件調査報道を不履行している結果恐るべき事態が進行している。大袈裟でなく自由主義・民主主義体制の崩壊の危機の瀬戸際と言うべきである。歴史に例えるならナチスの台頭の切っ掛けと言われる水晶の夜(クリスタル ナハト)に匹敵すると個人的には思う。この国の法制度において暴力機構たる軍隊は文民統制により、警察権力は司法のチェックである令状主義、検察権力は当事者対等主義で司法は純粋な判断者とすることで国家権力の恣意的行使や暴走を予防しようとする。司法権が砦となる。
建前は斯くの如しだが現実の司法によるチェックは形骸化が激しく機能不全に陥っている。警察による報道機関に対する強制捜査に令状主義が機能していない。取材源の秘匿を守ろうにも事実上不可能である。では如何すべきかである。
マスコミ諸君の常套句「第四権」の行使に依るしかない。新聞TV等の報道機関がスクラムを組んで調査報道をその経過をすべて公開して実行する事である。権力側のイチジクの葉っぱを世論という常民良民の力で剥ぎ取る事しか方法は無い。
記者クラブ制度・クロスオーナーシップの弊害を逆手にとって言論側がスクラムを組むしか方法は無い。
緑の狸とカミツキ亀の劇場型漫談政治を空しく見て、諦めとも虚無とも言いたい気持ちになる。しかし、鹿児島で現在進行中のこの事件は真剣に監視しないで後世「水晶の夜」だった、と歴史評論する様では遅い。

