純大吟「鳥海山」香妙洒脱
2012年 10月 26日
軽妙洒脱と言う四文字熟語がある。エゲレスでは「smart and refined」と訳すそうだ。気が利いてさっぱりしている事、と検索で出る。確かに検索エンジンは便利だが、記述が断片的なきらいがある。複数のデータを当たって自分なりにまとめる習慣を付けないとただでさえ単純なおいらの思考力では間違いを信用しかねない。
さて本題は「香妙洒脱」で、ある。天寿の限定流通品「鳥海山」シリーズの一つ、酒こまち40%純米大吟醸の呼称と言うかニックネームである。ここで天寿の「鳥海山」について説明が要るだろう。市場に流れる「鳥海山」には縦字の物と横字のそれとが在る。横字「鳥海山」は問屋さんを通して一般流通する。かたや、縦字のそれは蔵内における超小仕込みの実験醸造だったり、特殊な採取(例えば袋吊り)法で数量がごく少数の場合に、興味のあるお酒屋さんへ蔵から直接届けられる。
「縦字鳥海」にはそれぞれコードネームと言うか愛称が付く、前杜氏の佐藤俊二氏が酒質にちなんで洒落て付けた。例えば吟味良香とか伝口切辛等が在る。「香妙洒脱」は『香りが絶妙であか抜けた味わい』として付けられた。搾り方が特殊で「無加圧槽しぼり」とある。酒袋を積み上げる槽掛け(ふながけ)と言う伝統的上槽法において、積み上がった酒袋の自重で酒袋から酒が垂れて来る状態を言う。この部分は雑味が少なく香りも味も狙った本来の味に近い。最も贅沢なのはモロミの入った酒袋を一つづつ吊るす「袋吊り」だがそれに近い上槽法である。
昨年は秋田市場へ出すに充分な量が無く、ほんのご挨拶程度の入荷だった。今年はそれを反省(誰がかと言えばおいら自身だ)し、9月初旬の蔵での「呑み切り」時に予約を入れておいた。全部で180本(1.8Lのみ)の限定数故に、頂ける量は限りがあるが、弊店クラスの暇な店ならご紹介しても間に合うだろう。肝心の中身だ。
いつも思うのだが「酒の風合いを語るのはしんどい作業」である。それが仕事だろうと、言われると二の句が出ないにしてもだ。香りは「純大吟」らしく立派に立ちあがる。しかし今時の出品酒の様に「俺が俺が」と出しゃばりはしない。たおやかにグラスから木洩れ落ちる。その質は今風のカプロン酸系を本質に持つ。ではあるが爽やかに澄み切った硬質な風合いは伝統的吟醸の酢イソ系に通じる。軽快でくどさが無い。しかし存在感は充分ある。「大吟醸」足る風格である。含んで見る。舌の真ん中とその上の上顎にブドウを食した時の様な心地よい酸味がまず来る。含み香は立ち香程では無く、淡い。味の方が勝っている。爽やかな酸味を残しつつ酒が切れて行く。上品なブドウを連想させる酸味が心地よく後を引く。お酒単品で利いても充分満足できる。これが「大吟」のそれたる所以。「削ったから大吟」では無いと言う好例である。原料は「酒こまち」であるが、45%精白のせいか、この米独特の後に残る「甘味」は無い。純米らしい酸味が発って来る。山田錦のような押し出しは無いが繊細かつ華麗に口中を香味が舞い、きめ細かさを感じる。この風合いこそ北国に特有である。何処か小川酵母に通じる物を感じる。
中堅で脂の乗り切った前杜氏佐藤俊二さんの残した土産である。新杜氏である一関陽介氏による24BYが楽しみになる。23BYのこの酒を仕込んでいるまさにその時、彼は24BYで自分が仕込む事になると自覚していたはずである。前杜氏佐藤俊二とはそういう男である。シュンさん有難う。
酒歴である。原料米「酒こまち」40%。純米造り。酵母 吟醸用自社保存株。
酒度0。酸度1.9 アミノ酸 0.9 アル分 16~17。
1.8Lのみで4000円(税込)が希望小売となる。


さて本題は「香妙洒脱」で、ある。天寿の限定流通品「鳥海山」シリーズの一つ、酒こまち40%純米大吟醸の呼称と言うかニックネームである。ここで天寿の「鳥海山」について説明が要るだろう。市場に流れる「鳥海山」には縦字の物と横字のそれとが在る。横字「鳥海山」は問屋さんを通して一般流通する。かたや、縦字のそれは蔵内における超小仕込みの実験醸造だったり、特殊な採取(例えば袋吊り)法で数量がごく少数の場合に、興味のあるお酒屋さんへ蔵から直接届けられる。
「縦字鳥海」にはそれぞれコードネームと言うか愛称が付く、前杜氏の佐藤俊二氏が酒質にちなんで洒落て付けた。例えば吟味良香とか伝口切辛等が在る。「香妙洒脱」は『香りが絶妙であか抜けた味わい』として付けられた。搾り方が特殊で「無加圧槽しぼり」とある。酒袋を積み上げる槽掛け(ふながけ)と言う伝統的上槽法において、積み上がった酒袋の自重で酒袋から酒が垂れて来る状態を言う。この部分は雑味が少なく香りも味も狙った本来の味に近い。最も贅沢なのはモロミの入った酒袋を一つづつ吊るす「袋吊り」だがそれに近い上槽法である。
昨年は秋田市場へ出すに充分な量が無く、ほんのご挨拶程度の入荷だった。今年はそれを反省(誰がかと言えばおいら自身だ)し、9月初旬の蔵での「呑み切り」時に予約を入れておいた。全部で180本(1.8Lのみ)の限定数故に、頂ける量は限りがあるが、弊店クラスの暇な店ならご紹介しても間に合うだろう。肝心の中身だ。
いつも思うのだが「酒の風合いを語るのはしんどい作業」である。それが仕事だろうと、言われると二の句が出ないにしてもだ。香りは「純大吟」らしく立派に立ちあがる。しかし今時の出品酒の様に「俺が俺が」と出しゃばりはしない。たおやかにグラスから木洩れ落ちる。その質は今風のカプロン酸系を本質に持つ。ではあるが爽やかに澄み切った硬質な風合いは伝統的吟醸の酢イソ系に通じる。軽快でくどさが無い。しかし存在感は充分ある。「大吟醸」足る風格である。含んで見る。舌の真ん中とその上の上顎にブドウを食した時の様な心地よい酸味がまず来る。含み香は立ち香程では無く、淡い。味の方が勝っている。爽やかな酸味を残しつつ酒が切れて行く。上品なブドウを連想させる酸味が心地よく後を引く。お酒単品で利いても充分満足できる。これが「大吟」のそれたる所以。「削ったから大吟」では無いと言う好例である。原料は「酒こまち」であるが、45%精白のせいか、この米独特の後に残る「甘味」は無い。純米らしい酸味が発って来る。山田錦のような押し出しは無いが繊細かつ華麗に口中を香味が舞い、きめ細かさを感じる。この風合いこそ北国に特有である。何処か小川酵母に通じる物を感じる。
中堅で脂の乗り切った前杜氏佐藤俊二さんの残した土産である。新杜氏である一関陽介氏による24BYが楽しみになる。23BYのこの酒を仕込んでいるまさにその時、彼は24BYで自分が仕込む事になると自覚していたはずである。前杜氏佐藤俊二とはそういう男である。シュンさん有難う。
酒歴である。原料米「酒こまち」40%。純米造り。酵母 吟醸用自社保存株。
酒度0。酸度1.9 アミノ酸 0.9 アル分 16~17。
1.8Lのみで4000円(税込)が希望小売となる。


毎回、興味深く読ませていただいています。
motsuken(モツケン)と申します。
現在広島県は西条に単身赴任しており、美味しい日本酒に浸って幸せを感じています。
この酒のささ辰さんの評価を読んで、どうしても飲んでみたくなりコメントしました。
購入は可能でしょうか?
可能であれば購入方法をお教えください。
motsuken(モツケン)と申します。
現在広島県は西条に単身赴任しており、美味しい日本酒に浸って幸せを感じています。
この酒のささ辰さんの評価を読んで、どうしても飲んでみたくなりコメントしました。
購入は可能でしょうか?
可能であれば購入方法をお教えください。
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今晩は。sasatatsu gol.com 空白はアットマークね。へメールを飛ばすか。弊店HP http://www.tanoshiisake.com/
にある「お問い合わせ」機能をお使い下さい。
宜しく。
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宜しく。
by sasatatsu
| 2012-10-26 18:05
| お勧め
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Comments(2)

