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にほんしゅのせかい 言いたい放題


by sasatatsu

地蔵田 15号酵母

去年も紹介したが今年も紹介できる。去年は秋田12号酵母使用だったが、今年は兄弟酵母の15号のバージョンだ。工場と蔵のネットでのみ購入可能らしい。チラとネットを覗いてみたがあれれ、地蔵田が2種ある。でもって片方は売り切れみたいだ。ラベルを良く見ると御地蔵さんのイラストのあるバージョンとでないバージョンで分けるみたいだ。イラストの御地蔵さんだがこの酒をでかした御所野工場の工場長(杜氏さんだ)加藤氏に雰囲気が似てるぜ。
先週の初めに頂いたんだがそれからちびちびと少しずつ飲んでいる。最初に栓を空けた時ふわっと御餅の様な香りが立ち、続けて15号酵母の華やかというか絢爛というかお洒落な香りが上がって来た。グラスへ注ぐ、立ち香は典型的な15号だ。現代の吟醸香といえる。含むと程良く調教された含み香である。味は酒こまちだと思うんだが、らしい旨みが出ている。第一印象は非常にバランスが取れている「五味調和」と言う言葉があるが正しくそれである。
吟醸香についても最近の酒は酵母が本来的に出すそれが多いのだがこれは違う。まぎれもなく吟醸造り由来である。どうしてわかるのかって、15号は現代のTVタレントの様に表にしゃしゃり出て来るきらいがある。外に向かってはじけ散る事で存在を示すみたいな感じである。まぁ判り易い。ところがこの地蔵田の15号は内向きにくるっと味を巻き込みながら全体のボリュウムで吟香と吟味がまとまって押して来る。低温醗酵時のAATF触媒回路?が働き酵母が冷や汗を流した証拠だ。15号の香りとしては奥行きがある。要は酵母の特性のみならず吟造り由来の風合いによる厚みがある。
開封時は大げさでなく大吟醸みたいな風格を感じた。開けたて時の豪華さは15号の得意技でもある。従って10人位で一気に飲み干してしまう時は「お得感」一杯になる。
おいらは口も性格も意地も悪い。放置プレイにどこまで耐え得るか。しかも同時に他の酒も飲んでみる。現在進行形であるが飲み飽きの来ない良い酒である。さすがに豪華感は無いが立派に純米吟醸である。むしろ今の方が疲れなくて好ましいかもしれない。
HPでは500本限定と記してあった様な気がする。昨年の酒もそうだがこれだけの物が出来るのだから小仕込みでなく1.5トン位で商品化すれば良いのでは。ただ一つ問題がある。
この酒はその精神に置いて「手作り」である。四季醸造可能なコンピュウタ制御の蔵であっても造り手の思いと緊張感は酒に現れる。この地蔵田15号バージョンにそれを感じる。この思いが伝わる売り方が出来ているのか。15号バージョンのHPの酒の案内に純米大吟醸と書いてある。おそらく実物を見てもいないましてや飲んでもいないのであろう。真実は細部に宿ると、どこかで聞いた様な。
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22BYも事故なく無事に終える事を祈念すると同時に加藤均杜氏が来年は如何に工夫するか楽しみでもある。蔵でも売ると書いてある。是非とも御所野蔵を見学がてら地蔵田を御土産にされると良い。一升瓶のみで税込2625円である。

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by sasatatsu | 2010-12-01 21:46 | お勧め | Comments(0)