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にほんしゅのせかい 言いたい放題


by sasatatsu

吟醸系と非吟醸系のお試しセット(試案)

吟醸系と非吟醸系とに大雑把に分類する事の根拠は現代醸造技術の驚異的発達にある。つい40年前まで、50%も磨けば出品クラスだ。霧筑波30周年記念酒として30年前の鑑評会銀賞酒が出た。スペックは美山錦50%であった。

今では30%とか23%とか極端な物は8%とかが出る。精米機が優秀になった。

60%以上の精白の意義は伝統的吟醸造りにはあった。と言うのは訳がある。現代においては厳密な吟醸造りをせずとも酵母が勝手に吟醸香を生成する。

70%でも吟醸香を出せる。

弊店はこういう現状に対し造りに依る吟醸酒とあえて吟醸酒質を外した日本酒に分類してみた。

吟醸造りを外した酒の筆頭は菊鷹山廃本醸造ひやおろしである。剣菱へ桶売りするタンクを10月下旬の外気が冷卸(火入なし)に耐えるまで待って詰める。

一夏の蔵内常温熟成の正しい姿。19度あるので加水燗もよし。これに対して昔では出来なかった低温熟成2夏越しが霧筑波である。この蔵は生も火入もマイナス5℃で熟成させるのが従来の方法だった。実は生酒はこれでいいのだが火入酒は酒が動かない。そこで15℃で寝かす事で老ねではない綺麗な「てり」の有る熟成純米をと実験したのが2夏越えの冷卸である。冷卸の本質は原酒一回火入一夏熟成などと言うスペックでは無く、自社の酒を老ねさせる事なく自分の酒を飲み頃へ熟成させる事に有る。正反対の方向で実践された熟成だが豪快な豊醸と静謐なそれ。見事な好対照である。

喜楽長特純ひやおろしは現代の技法で正しく瓶燗火入れ一夏熟成させた「見本」の様な酒である。実はこの酒が今回の吟醸酒へとつなぐのである。

規格は「山田錦/吟吹雪60%純米で能登流による金沢酵母」である。これと全く同じが、松の司純吟楽である。片や特本、もう一方は純吟である。同一規格ながら特純と純吟である。確かに楽に華やかさを認め得る。旨い酒と言う意味ではどちらでもいいのだが、非吟醸純米から吟醸純米への微妙な移行が面白い。

純吟楽は最新の分類では伝統的(古典的)吟醸である。では最新の吟醸とは、である。玉柏純吟ひやおろしがそれである。山田錦50%におそらく1801号であろう。以前までは同じスペックで特別純米を標榜したが純吟表示となった。

カプブリの酒で有るがその中では品の良い部類である。特純表示だが酵母の特性による吟醸酒質として凌駕がある。詳細は不明だが酵母は新潟9号(G9)と思われる。9号だから酢イソ系かと思えば、どっこいカプエチが強い。典型的なカプエチ酵母1801も基株は9号である。酢イソとカプエチとのバランスで酒質を決める段階に来ている典型例。

そして松の司純吟5528BYである。従来ここの一般市販酒は金沢酵母主体である。しかしどういうわけか28BY山田55純吟火入に関しては、カプエチが漂う。

ブルータスお前もか、である。ぎんじょう


by sasatatsu | 2017-12-07 19:54 | 酒の味 | Comments(0)