にほんしゅのせかい 言いたい放題


by sasatatsu

和心純米吟醸雄町55

「和心」という日本酒の新ブランドが出来たのが平成24年11月であった。この6月で1年と半年が経った。6月に入り製造元の難波酒造からお知らせが入った。和心の新製品として雄町米55%精米の純吟を発売するとの事だった。蔵の専務氏がブログで蔵情報を出されるので観に行った。「酵母の良質の酸に感動した!!!」と題して、日本酒の酸味に関する歴史的考察と多酸生成酵母KT-901号を使った経緯と感想に続いて新製品「純吟雄町55・KT901仕様」の説明がなされている(http://b0234hn634.blog137.fc2.com/)。当該酒の概要はこのブログ文に任せる。となると書く事が無いではないか。
草枕ではないが突き放して観察してみた。その前に先入観無しで冷えた状態で飲んだ印象を述べよう。
立ち香は上品で透明な伝統的吟醸酢イソか?で抑制的。「おや、お得意のダブル酵母でカプを振掛けたのと違うぞ」である。含んでみると含み香がどうこうの前にハットさせる酸が「光る」。リンゴ酸多酸だったりクエン酸多酸だったりの所謂多酸酵母はわざとらしい、乱暴というか必然性?を感じない酸と感じる事が多い。これは9号系の酸ではある。加えて酸が多いのだろうが、含み香を利こうと舌の上で酒を転がすと優しいジュウースを含んだかに酸が広がる。鼻腔へ抜けるはずの含み香は酸味のインパクトの為にか印象に残らない。それにしても酸味を綺麗とかほのかと感じる事はあっても上品な酸と感じるのは珍しい。飲み下すと酸は光をこぼしつつ散消する。アフターは綺麗に口中が洗われて清清しい。酒のあては鳥とチーズだったが食材の特性を旨みへと昇華してくれる食中酒としても好ましい物だ。
おや、これが世に言うKT-901だったのか。多酸酵母だが無理が無い。酔鯨酒造の純吟吟麗も切れ上がる酸でシャープに姿を切り取るがこれはKA-1と言う熊本酵母の独特の酸に由来する。だったらKTでなくても9号で工夫して同様の酸が出るのかも等と思いつつこのブログを書こうと利き酒グラスに和心雄町55を注いでキーボード左に放置してみた。
暇な店ではあるが、来店されるお客様は有り難い事にちらぽらといらっしゃる。そのお相手をしているとキーボードに向かうのが途切れ途切れになる。グラスの酒は常温に放置され気が付けば3時間以上そのままである。酒としては過酷な状況である。グラスに注がれる前に既に開栓後常温で放置され、更にグラスの中で空気に大きく触れたままである。ここで立ち香を利く。
酢イソ系の香りは既に飛んで無い。ふわっとこぼれる様に軽く、赤い熟れた果実様の香り、カプエチ系のそれが来る。口に含む。普通は変に甘味が残ったりする状況だが果実様の酸味は残っており、変質もしていない。喉を通した後林檎を齧った後のような酸味をアフターに味が引いて行く。難波酒造の個性である備中流の淡麗旨口を基礎に輝ら散る酸がアクセントで残っている。多分KT-901のそれ足る所以がここにある。専務氏のブログで「このラベル和心史上№1の出来云々」と書かれているがなかなかどうして内容もそれなりである。問題は火入れした後、熟成酒をつくったとしてそれがどうなるかである。何故なら雄町と言う米は火入れ後の熟成で他の原料米には無い大器に育つからである。
1.8Lで3000円720mlで1500円あたりが希望小売となる。
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by sasatatsu | 2014-06-07 20:38 | お勧め | Comments(0)