人気ブログランキング | 話題のタグを見る

にほんしゅのせかい 言いたい放題


by sasatatsu

和心 朝日米 その2

出来たて詰めたての「和心 純米生原酒 朝日米」の栓を開ける。吟醸香では無く、従来の既存の酵母でもない独特の香りが上がる。慣れないと一瞬戸惑う。最近の1501号(AK-1の協会酵母版)を使った酒の立ち香にふっと見られる香りに近い。後になって経験するのだがこの生原酒を極少量吟醸グラスへ移し、3時間も放置して見た。突然の事グラスから澄んだクリスタルな香りが立ち上がって来た。7号酵母による吟醸香に近い。これから測るに最近の1501特有の香りに蔵の癖の付いた物であろう。純米生原酒で味も香りも「詰まっている」為にグラスに120mlも注いでしまうと香味が判り難い。これに気がついたのが720mlを残り180mlまで利いた所だった。残りの酒をグラスにわずかに注ぎ酒を廻してみた。ふっと熟した果実の様な香りが仄かにこぼれた。明らかにカプロン酸系である。主たる香りはクリスタルな酢イソ系であるがアクセントとして「カプ」も有る。もっとも65%精米で吟醸造りでは無いので、立ち香の性質を述べよと言うとこうなる。普通にいただく分には「独得ではあるが障り無い香り」である。口に含んでみると原酒であるが軽快に舌に載る。含み香はあまり感応しない。純米らしい酸味は淡くではあるが確かなそれとしてある。この蔵お得意の淡麗旨口である。軽く燗を付けてみた、今度は角の在る酸が浮き上がって来る。新酒生酒特有の粗さをやっとここで感応する。これを利きながら他に山田50%とか美山55%なども比べてみる。(大)吟醸クラスと普通純米を並べている訳だが軽快さにおいて65%の「はくの黒さ」は感じない。65%精米と言うのはやり方によってはここまで軽快に造れると言う事だ。『古い杜氏から繰り返し聞いた、備中流の極意。蔵からたとえ黒い米を与えられてもあまり溶かせ過ぎない(酒化率は悪い・・・当然アルコールの取得率も)で粕を多くしてその代わりに綺麗な酒を得る・・・・・・・・・を意識してつくっています。』とは杜氏代行も務める難波酒造の専務の説明である。利き酒の途中ではあるが65%としては軽快な吟醸クラスの呑み口と、新酒搾りたてらしからぬ落ち着いた円熟に近い味の整い方。後者についてはこの酒だけでなく11月にいただいた新米新酒でも感じた。この蔵の個性であろう。黙って出されればするりと呑んでしまう酒(障り無い飲み口)だが、解説しようと取り掛かると以外にも手強い複雑な酒である。途中経過とする。
和心 朝日米 その2_c0155956_1151887.jpg

by sasatatsu | 2013-02-20 11:06 | 酒の味 | Comments(0)