にほんしゅのせかい 言いたい放題


by sasatatsu

朝日米 純米酒 その1

「西の朝日、東の亀の尾」と言う言葉が在る。少し日本酒に詳しい向きなら「東の亀の尾」は越後や東北地方で栽培された米、50代前後の向きなら和久井映見と荻原聖人が共演、その縁か結婚に至ったTVドラマ「夏子の酒」のテーマとなった幻の米程度には記憶が有ろう。「西の朝日」については余程の方で無いと理解出来ないであろう。東北地方(東)の米の祖先に「亀」が居る様に関西方面の米の祖先に「朝日」が居る。秋田県と言えば米どころ、秋田米といえば「あきたこまち」と言われる程だが種苗法上の品種登録が無い、と言う事は知的財産としての裏付けがない。岩手県産「あきたこまち」千葉県産とか九州にもあると聞く。「秋田こまち」は秋田県が育成選抜を行って開発した米ではあるが元々の「種」は福井県農業試験場由来である。知的財産の裏付け云々はこんな所に原因が在るのかも。それはさて置き「秋田こまち」の血統と言うか系統図を見ると東と西の境に有る福井を故郷にしているのが読める。片方には亀の尾とその子孫が居るのだがもう片方の祖父母に当たる米は「朝日」なのだ。物の本によれば明治41年に京都で「日ノ出」と言う品種の突然変異として選抜育成され「京旭」となりこれが岡山県で品種改良され「朝日」となったとある。米の系統図を眺めると西にルーツの在る米の祖先に多く見られる。「亀」も「朝日」も明治の後期から大正時代に西と東で全盛期だったようだ。ではなぜ醸造用米として「亀の尾」が名を残したのかである。事実を書けばマスコミ的に光を浴びたか否かの違いである。朝日米も芯白は無いが大粒で酒米として使われたとある。時代的背景も有ろう。日本最古の歴史(江戸後期)を持つ酒米「雄町」が既に西日本一帯に分布していた。他方寒冷地の東北越後においては輸送手段が発達するまで醸造用米は事実上「亀の尾」だけだった。業界で知られる優秀な酒米「雄町」は「東」の蔵にとっては輸送手段(鉄道網)の完成までは高根の花だった。斯様に朝日の当たらない米「朝日米」ではあるが岡山県において酒米として使われている。そしてこの米に光を当てたのが岡山県津山市の難波酒造である。この事は以前にも書いた。一般米(朝日)では首席は無理だろうと事前の予測に反して平成23年春に岡山県の品評会で純米の部において知事賞を取った。現在弊店の在庫の純米朝日はそろそろ1年熟成になろう。一般米65%にもかかわらず「老ね」の「ひ」の字も無い。大前提は腕の確かさであるが原料米としてもかなりの素質を見てとれる。こうして調べて思ったのだが「雄町」と言う「偉大な米」の影がよほど大きいのだろう。難波酒造の専務のブログによればピンポイントで核心を突く事で「良い酒になる」とある。例によってであるがここまでが前振りである。この蔵が昨年10月から限定酒「和心」を発売した事も以前に紹介した。この酒、雄町60%特純がなんと年を越したばかりの2月で蔵から売り切れてしまった。売れる事は良い事だが、計画性が足りんとぼやいてもね。で、専務殿『これはまずいぞ』と前年度知事賞の「朝日純米」を再現し、急遽「和心」の種・ネタ?にしようと奮闘した。2月の初旬に搾りあがり、直ぐにおいらの店へも入荷した。搾りたての生原酒である。入荷して2週間は経とうとしているが、酒の紹介が出来ないでいる。720mlで利いて、これでは判らんと1.8Lを倒してダイニングに転ばせて放置しつつ毎日冷と燗とでこいつを利くのだが、ボキャ貧の為に正確な表現が難しい。そこで、720mlと1.8Lを「転がした」体験を述べてみたい。
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by sasatatsu | 2013-02-20 11:03 | 酒の味 | Comments(0)